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ケアマネジャーのWORK&LIFE Vol.38

前田由美さん
介護支援専門員(ケアマネジャー)、主任支援専門員、介護福祉士、株式会社サンライム代表取締役 

中学生の頃から興味があった介護の仕事

 

 

 最初に介護の仕事に興味を抱いたのは、中学生の時でした。もともと人と関わることや話すことが好きで、そういう仕事に就きたいと漠然と思っていたのと、今後高齢者社会に向かうというのを当時テレビなどでもよく見ていたことが、この道を目指すきっかけとなった気がします。また、介護の仕事についても重労働というよりは、おじいちゃん・おばあちゃんとしゃべったりレクリエーションをやったりする楽しそうな仕事、というイメージが強かったですね。
 ただ、高校は母親のすすめもあり調理科に進んだので、最初は老人ホームの調理の仕事や、食に関する仕事もいいかなと思ってもいたんです。ところが、ちょうど高校卒業後の進路を考えたときに、青森県に介護の学校ができ、「そういう学校もあるんだ!」と衝撃を受けて、県内初の養成校の3期生として入学しました。
 卒業後は地元に戻り、介護福祉士として老健に採用してもらえて、介護職員として勤め始めました。現場の仕事はすごく楽しく、8年ほど勤めたんですが、やはり体力勝負の仕事でもあり、腰を悪くして手術することに。それでも、利用者の方から「あなたにだから頼みたい」と言ってもらえたり、普段見られない笑顔を見られたりと、その大変さに勝る喜びが日々ありました。
 例えば、言葉をうまく発することができない方に、「今日こんなことがあって〜」とちょっとグチを言ったら、だまって笑顔で手を握ってくれたんです。「これはきっと『がんばれ!』と言ってくれたんだ」と本当に嬉しくて。そうやって利用者の方から励ましや元気をもらえる、そんな環境の介護の仕事は、とても魅力があると思っています。

 

 

仕事への疑問を抱くようになり、思い切って独立

 

 

 腰の手術を受けることになった頃、ちょうど介護保険制度が始まりました。当時すでに実務経験もあり、ケアマネの資格を取得できることがわかって、「今後介護の仕事に関わるには相談業務しかないのかな」と思って受験しました。資格取得後はお世話になっていた老健をやめ、新規オープンの特養で施設ケアマネとして採用されました。
 その特養でも8年間勤めましたが、事業展開で会社の規模が大きくなりすぎて、自分が思っていた介護の仕事とかけ離れてしまったように感じたんです。それまでの8年間、色々と勉強させてもらったことに感謝しつつ、これからは自分でこじんまりとやってみようと、2008年、36歳のときに株式会社サンライムを設立し、居宅と訪問介護事業(ヘルパーステーション)を始めました。当初は利用者が一人もいなくて、チラシのポスティングなども自分でしましたが、知り合いのケアマネさんや相談員さんの紹介などで、徐々に担当数が増えていきました。また、介護保険外の仕事を頼まれることが多くなり、家事代行事業も始めたんです。
 数年後、定員が12~13人程度のグループホームのような、しっかり目が届く施設を作りたいと思うようになりました。そして会社の実績を積んで10年ほどたち、「今やらないと借入金を返済するのが難しくなる」と一念発起し、2019年に住宅型有料老人ホームを、19床でオープンしました。ここまでくるのは大変でしたが、一緒に仕事してきた仲間も含め、周囲の人たちに支えてもらっているなと感謝しています。

 

 

難しく、事務作業も多いケアマネの仕事。でもそれを凌駕する喜びがある

 

 

 現在、当居宅には、自分も含めてケアマネが7名います。会社の代表のほか、青森県介護支援専門員協会八戸支部、青森県介護福祉士会南部支部の各事務局なども担当しながら、ケアマネを続けている一番の理由は、「生活の場面が見える」からです。やはり実情が見えないと何を話しても説得力はないですし、パソコンを見ているだけではダメなんですよね。
 ケアマネの仕事で大変なのは、どうしても事務作業が多くなるということでしょうか。例えば、施設に入所希望の方がいたら、施設リストを渡すだけでも紹介業務となり、施設がどんな所でいくらかかるかまで調べて情報を提供しても業務としては同じなんです。でも、当社のケアマネは、利用者の方の状態をしっかり聞いてどの施設にあうかを調べ、「ここに空きがあるから問い合わせしてみては?」と提案するところまでやるのが当たり前です。だからこそ、事務作業は多くなってしまうのですが。
 また、事務仕事が多いせいで、利用者の方やご家族ときちんと向き合って話ができているか、足りなくないかと思うこともありますし、相手のあることなのでやはり難しい仕事ではあります。でも、感謝されたり、ご本人やご家族の思いに沿った支援ができたりするとやはり嬉しいですし、小さな積み重ねでここまで続けられたと思っています。 
 仕事をする上で大切にしているのは、当社の経営理念「あなたも、わたしも、みな家族!」の通り、利用者の方が自分の親や家族だったらどう考えるか、ということです。利用者の方にとって、どのケアマネに出会うかで大きく左右されるというのは葛藤するところですし、仕事の幅も人それぞれですが、できる範囲で情報を提供し、支援したいですね。

 

 

休日は用事があるときのみ。コロナ前の気分転換は一泊旅行

 

 

 会社の代表でもあるので、休みはあってないようなもの。用事があったときに休む程度です。今は、仕事が趣味みたいなぐらいです。用事がとくにないときは、近所に買い物に行ったり、できる範囲で家事を片付けています。そもそも、何もせずにダラダラするのが好きではないんですよね。
 コロナ禍前は、よく気分転換に一泊旅行に出掛けていましたし、カラオケも好きなのですが、この仕事はコロナ感染がより心配なので、最近は家でYouTubeなどを見ながら一人で歌ってます。あとは、食べるのも好きで、とくに果物とお菓子が大好きなんですが、果物は太りやすくて困ってしまいます。また、コロナ禍になってからは、ネットでお取り寄せをするのにはまり、全国から色々な果物を取り寄せたり、珍しい食品を選んだりするのが楽しくて。あと、最近八戸でパンの専門店が続々オープンしていて、新しくできたお店のパンを食べ比べるのも最近のマイブームです。
 お酒も飲まないしタバコも吸わないので、結局のところ食べることが一番のストレス解消法なんですよね。年齢的には考えないといけないかなと思いつつ、満腹で眠りにつくのが至福の喜びなので、どうしても寝る直前まで食べちゃいます。それでも、ちゃんとお腹が空いて目が覚めますよ!(笑)
 健康法はとくにないのですが、やはり年齢のこともあり、今後は意識していかなきゃ、とは思っています。また、健康器具はいっぱい家にあるんですけど、置くだけで満足してしまうので、まずはそれをなんとかしないといけませんね(笑)。それに、フィットネスクラブなどの利用はまだ躊躇があるので、ウォーキングや自宅での運動をしようかなと考えています。

 

 

みんなで集まれるサロンを作り、歌とエレクトーンを披露したい

 

 

 30年間、介護の仕事一筋でやってきましたが、エレクトーンを高校3年まで10年以上習っていたので、その先生にもなりたいと思っていた時期があったんです。今は趣味という趣味がないのですが、仕事をあと12~13年頑張ったら、60代は仕事をセーブして、歌やエレクトーンをやろうかなと考えています。音楽療法というと堅苦しいですが、レクリエーションの一環として施設を回って、みんなの前で披露するのもいいかなと思っていますし、それを趣味にできたらいいですね。
 仕事に関しては完全にリタイアせず、無理ない範囲で続けて、若々しく年をとりたいです。今後の目標も、それほど大きいことをやりたいとは思っていません。ただ、これから元気な高齢者がますます増えるでしょうから、そういう方たちが集まれるサロンを作りたいんです。デイサービスは要支援だと利用回数に制限がありますし、もっと違った形で近所の方や高齢者の方がみんなで集まれる場所があるといいかなと。もう少し時間はかかると思いますが、ぜひ実現させたいと思います。

 

所属先:居宅介護支援事業所ポラリス